2007年11月アーカイブ



自分が債務者と仮定すると?

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不名誉な仮定ですが、あなたが債務者だとして、実際にはお幾ら万円の債務=借金があるのでしょうか?

借金の額なら「☆☆☆円」とすぐに答えられる債務者の方もいると思います。
しかし、ちょっと待って下さい!
借金は業者に額と共に請求されます。
ですが業者の主張する額が、本当の借金の額だとは限らないのです。

高利貸し、とか「トイチ」といった物騒な言葉を耳にする機会も最近特に増えていますが、業者は法律で定められた割合の利子、あるいは法律に違法した高額な利子で利益を得ることでビジネスを成り立たせています。
その利子の計算を巧妙に、あくどい業者ほどおおざっぱに(10日で1割!)計算して請求しています。
債務者は余分な利子を背負うことで余計に借金していることが多いのです。

はい、借金を減らす「特定調停」の出番です。特定調停では「利息制限法」を武器に債権者と戦います。
法律は完璧ではなく、抜け道がどこかにあります。その抜け道を見つけて債権者は商売しているのですが、例えば年18%を超える利息は「利息制限法」で無効なのに、なぜ多くの消費者金融の契約利息は20%後半の数字を提示しているのでしょうか?
堂々とCMでも流しています。これは借際に「利息制限法」と「出資法」と呼ばれる2つの法律が交差して存在することによります。

「出資法」では年29.2%以下なら利息として法に触れないのです。
利息制限法では違法だけど出資法では違反じゃない、というグレーゾーンが生まれてしまうのですね。
高い利子がつくと、働けど働けど、返しても返しても借金は減りません。利子分だけ返しているようなもので、元金は一向に減らないからです。
そこで債務者は出資法ではなく、利息制限法で借金を再計算すればいいのです。
と言うのは簡単ですが、これまでの借金時、借金返済時の領収書はお手元にありますか?
もし、ない場合は計算書を業者に頼んで公開してもらわなくてはなりませんし、取引経過も必要となります。

冷静になって辛い現実に向き合ってみましょう、現実は理論通りにはいきません。

債務整理しなくてはならないほどの債務者には多額の借金があります。
多くは多重債務者と呼ばれる、何社もの消費者金融から片っ端から借りているヘビーユーザーだったり、人気タレントを使ってCMを流したりしているまっとうな(実はまっとうではなかった、というケースも多々ありますが)消費者金融ではもう借りることができず、所謂闇金と呼ばれるような裏社会の危ない会社から非常に、というより異常に高い利子で雪だるま式に増えていく借金を背負っています。

消費者金融だって利息制限法はとっくに知っています。熟知した上で利用しているのですから。
債務者が個人で計算書を出すよう要求しても、果たして債権者側は素直に自分たちに不利益になることが明白な証拠を出してくれるでしょうか。不利益になるだけではなく、正式な計算書を出せば闇金の場合には法律違反で罰せられることになってしまいます。

ただでさえ債務者は債権者に脅されなくても、自分は借金をしている弱い立場だ、と萎縮しています。
そんなあなたに堂々と債権者と戦える勇気はありますか?
勇気があって実行しても、交渉は知識と言葉のテクニックで決まります。
相手は交渉と威圧のプロです。

そろそろ専門家のことを知りたくなってきたと思います。



債務整理:破産

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大きく分けて4種類の債務整理の中で、最も有名な「破産」について書いてみます。

普段でも大変な出費をした時などに「破産する!」などと冗談で使いますが、実は立派な法律用語です。

破産宣告を受けることで(免責決定が下る=破産宣告)「破産」することができ、破産すると破産者の財産は処分されてしまいます。
何もかも失ったように感じますが、実は破産は世間のイメージより悲惨ではありません。
なぜなら破産の最大の特徴と言えますが、破産宣告以後、債務者が負った借金の返済義務がなくなるのです。
返しきれないほどの高額な借金を返さなくてよくなる、これはちょっと凄いことですよね。

もし財産を売って借金を返せるのなら、とっくに債務者は所有する財産を売るなり何なりして現金に替え、借金の返済に充てていた筈です。
ということは財産より借金の額の方が高かった、ということになります。
分かり易く例えると1000円借りて返せないから100円の消しゴムを手放して借金はチャラ、という感じです。

債務整理の方法の2番目は「特定調停」です。
借金は借りる人と貸す人がいないと存在できませんが、借りる人が債務者、貸す人が債権者です。特定調停では債務者と債権者が話し合い、返済条件を債務者の有利な方に調停していきます。
繰り返しますが債務整理は借金で行き詰った人を再生するための手段ですから。
もちろん話し合いは喫茶店や自宅ではなく、裁判所で調停委員のもと行われます。
利息制限法という法律があり、この法律で借金を見直すと(再計算)、債務=借金が減額されることがあるのです。

3番目の債務整理方法は「個人民事再生」です。
個人債務者のための再生手続きで、債務者の要件にあてはまり再生案が認められると、借金が「5分の1か100万円の多いほう」に減額することができます。
要件は2つあり、まず、将来継続的に収入を得る見込みがあるか、また借金の額が3000万円以下であることです。
継続的な収入とは定期的にもらう見込みのある給与などで、競馬で当てる、とかパチンコで当てる、と言った収入は指しません。

美しく若い女性が「パトロンならすぐ見つけられる!」というのも駄目です。
「借金をした人間になぜそんなに情けをかけるシステムになっているの?」と疑問を感じ始めた方も多いと思いますが、その問題はのちほどお話するとして、債務整理方法の最後の方法は「任意整理」です。任意整理は原則的に法律は絡みません。

債務者と債権者が勝手に話し合って返済条件を決める、という感じです。
債権者も1円も払わずに債務者が逃げたり、最悪の場合保険金を残さずに自殺したり姿をくらましたりするよりは、全額でなくてもお金は返して欲しいと考えますから。ただし債権者は多額のお金を貸せるほどですから、ビジネスとして金の貸し借りをすることで利益を得ているプロの業者です。
従って話し合いでもたいていは債権者の有利な条件を決められてしまいます。

借金を減らすための話し合いで逆に条件が厳しくなった、なんてことにならないように、もしこの任意整理を債務整理の方法として選ぶのなら、料金はかかりますが弁護士など専門家に依頼した方が良いです。

債務者の方ご本人であくまで条件を有利にしてやる、と燃えている場合でしたら誰も止めることはできませんが、相手の条件を厳重にチェックし、事前に十分すぎる勉強が必要です。

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